2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

130−温泉

アーティストのKさんは犬の散歩にかなりの時間をかけます。自宅から近くの川の土手まで20分、その土手を海に向かって30分、そこで川原に下りて川の中に湧き出る温泉で顔を洗い、そのお湯でうがいをしてから来た道を引き返すというのが日課のようです。……

129−トヌ

思い返せば今までに随分とアトリエを変えてきたのですが、そのアトリエごとに色々な思い出があるわけです。たとえば最初のアトリエには毎日同じ時刻にやって来る一匹の野良犬がいたのですが、短い白い毛をした痩せこけた気の弱そうなその犬はいつもオナカを…

128−鍵−2

アーティストのKさんと由布院に出かけた時に体験した出来事です。その日の目的はKさんの展覧会の打ち合わせだったのですが、思いのほか早く終わったので、由布院の町をあれこれ探索したあと最終的にKさんの行きつけのおしゃれな喫茶店でのんびりさせて頂…

127−O(オー)

30代の頃、どうしても作業服の『ツナギ』が欲しくて近くの専門店に買いに行ったときのお話です。作業服の専門店というだけのことはあってツナギの種類や色は豊富でかなり迷った末に結局、白のオーソドックスなものに落ち着きます。とりあえず試着してみる…

126−S

20代の頃、車を運転中に街中の大きな交差点で信号待ちをしていたときの話です。直進車線の先頭で停車していたのですが、その信号は青になるまでにとても時間がかかる信号でしたので時間を持て余した私は右隣に停車していた大きなオフロード車を何気に見て…

125−オーパーツ

その時代に存在するはずのない物やその場所にあってはいけない物のことを『オーパーツ』と言うらしいのですが、今思えばあれがそうだったのかも知れないというのが一つだけあります。小学校の低学年の頃ですから昭和30年代後半の話なのですが、近所の同じ…

124−リヤカー その2

リヤカーで思い出しましたが中学生になったばかりの頃、何か部活をということで柔道部に入りまた。予想していた以上のハードな練習に部活の選択を誤ったことを後悔しつつもそれなりに頑張っていたある土曜日のこと、その日は午前中で授業は終わり部活もない…

123−リヤカー

最近では『リヤカー』と言ってもピンと来ない人の方が多いと思いますが、私が子供の頃には 普通にその辺で見かけていました。ふたつの大きなタイヤが荷台の両側に取り付けてある鉄のパイプで骨組みされた荷車のような ものです。当時の農家には必ず一台はあ…

122−黒豹

クロヒョウに直に触ったのはその時が初めてでした。目の前に横たわる黒いビロードのような毛並みは至近距離で見るとチャンと豹柄になっていて、思ったよりも体温を感じないその毛並みに添って体をさすり続けながら『もし今、麻酔が切れて黒豹の意識が戻った…

121−自動販売機

今でもよく見かける当り付きの自動販売機が出たての頃のお話です。窓拭きのアルバイトの休憩タイムにジャンケンで負け、4人分のジュースを買って来ることになりました。販売機は数台並んでいたのですがその中の一台に当り付きの販売機があり、ものめずらし…

120−ローリエ

数十年前東京に上京して間もない頃、高円寺にある小さなレストランでカレーを頂いたときの話です。レストランに一人で入ったのは生まれて初めてのことなのでチョッと緊張していました。それは々とても美味しいビーフカレーだったのですが、何故か木の葉が一…

119−決定

知り合いに高額の宝くじ(と言っても100万円ですが)に当たった人がいるのですが、話を聞くと「当たるような気がした」とか「当たる夢を見た」とか言うのです。そう言う話はよく聞ききます。中には発表の前に当たりを確信していたりする人もいたりするの…