466−オカリナ(後)

恥ずかしいやら情けないやらでしたがそのままにしておく事も出来ず雨に濡れながら砕け散ったオカリナの破片を拾い集めるのですが、破片を拾いながら『普通ならここで偶然お金を拾うとかオカリナの中から小さく折り畳まれた一万円札が出てくるとかあるのに…』などと考えるのですが、そんなことは一切ありませんでした。

アパートに戻りオカリナの破片をつなぎ合わせながらそれでも何かを期待するのですが、何にもないという事が逆に不思議に思える程何もありませんでした。その日、生まれて初めて『ちゃんとしよう』と思いました。


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