325−蟹

意味がわからない事というのは、ただこちらの理解が及ばないだけなのかも知れませんが、どう考えても理解できない事と言うのは確かにあります。

たとえば随分前にハワイのオアフ島のホテルで体験した意味のわからない事ですが、遊び疲れてホテルに戻ったのは午後の4時位だったでしょうか、ホテルの玄関で大きなカニを見かけます。

海に近いホテルでしたのでそれほど驚きませんでしたが、部屋に戻るために乗ったエレベーターの中でもカニに遭遇した時にはチョット驚きました。


ドアの閉まったエレベーターの中でカニと2人きりになったのは生まれて初めてでしたのでかなり緊張したのですが、全く動こうとしないカニに違和感を覚えます。

実は玄関で見かけたカニもジッとしたまま動かなかったからなのですが、別に死んでいる訳ではなくジッと身を潜めている感じなのです。

ハワイのカニはこういうものなのだろうと自分に言い聞かせ、触ってみるには少しばかり抵抗のある大きさのカニを睨みつけながら自分の部屋の階でエレベーターを飛び出ます。


部屋に向いながらエレベーターのドアが閉まるのを確認するのですが、カニがホテルの外からエレベーターまでたどり着くまでに誰にも見つからずに広いロビーを移動できたのを不思議に思ったのですが、どこかの国では牛を神の使いとして丁重に扱ったりすることもあるので、おそらくハワイでもそんな感じなのだろうと勝手に決め付けていました。


部屋に入り一服してからトイレに入ったのですが便器のフタを開けて腰を抜かしそうになりました。

便器の中にカニがいたのです。


そのツルツル滑る便器の中で『シャカシャカ』と激しく足を動かしているカニに恐怖を感じたのは前の2匹のカニとの動きのギャップからですが、どうすれば鍵のかかった部屋の、扉の閉まったトイレの、フタの閉まった便器の中にカニは入る事が出来るのでしょうか。


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