429ールール

どこの家庭にも多かれ少なかれ何かしらその家庭独自のルールのようなものがあるものです。子供の頃はそのルールを不思議に思いませんし、そもそもそれはルールではなく当たり前の事でした。

ところが後で考えるとあれは何だったのだろうと思う事がいくつかあって、ひとつは夕食がカレーの時は必ず父親だけはステーキだったというのがあります。当時は子供心に自分も父親のような立派な大人になればステーキが食べられるようになるのであろうと勝手に思っていたのですが、今思えばそこには子供が知らなくても良いおとなのルールがあったのかも知れません。

もうひとつは家には出刃包丁がなかったという事です。キッチンにある包丁は全て先が平らな四角い包丁で、私が実際に本物の出刃包丁を見たのは成人して東京で生活を始めた頃でした。その理由は後に父親から聞かされる事になるのですが、実は夫婦喧嘩の際に直情型の母親が刃物を持ち出した時の用心として先の尖った刃物は家に置いていなかったという事でした。

そう言えば先の尖ったハサミもなかったような…


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