412−箸

自分には霊的なものを感じる能力はないと思っているのですが、この間ある所で明らかに見えない何者かに左足の太ももを触られ、良い歳をして思わず悲鳴をあげてしまうということがありました。気のせいかその事があってから何となく体調がおもわしくなく、本調子ではない日々が続く中、デザイナーのE君に用事があり出かけます。

E君を訪ねる時には必ずE君の奥方に会うことになるのですが、その奥方に開口一番「のさってるね(乗っかっているね)」と言われ驚きます。奥方に特殊な能力が備わっている事は昔から知っていましたし、そのパワーは私も認める所です。

「それじゃあ、チョチョットやっちゃいましょうか」何とも頼もしい奥方のお言葉にツイツイ甘えてしまうのですが、何故か奥から箸を手にして戻ってきます。

「はい、乳首を出して」奥方は麻が練り込まれていると言う特別な箸を右手に持って私の左乳首の辺りで構えています。今までの経験上、そこで躊躇すると後が面倒な事になってしまうので、恥ずかしかったのですが思い切ってTシャツをまくりあげます。

箸で乳首をつままれたのは生まれて初めてでした。恥ずかしながら、その時おそらく数日前に何者かに太ももを触られた時にあげた悲鳴と同じ位の声を出したと思います。

「はい!いただきましたぁ〜」そう言いながら目には見えない何かを自分の口に運ぶ奥方は笑顔でした。

「どう、軽くなったでしょ」と言われ、即『ハイ』と答えたのは中途半端な返事をして右の乳首までつままれたくなかったからではありません。

お陰さまでスッカリ体調は戻りました。本当です。


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