278−ビスケット

義理の兄の家にお邪魔したときの話です。

たまたま義理の兄の娘さんが子供を連れて遊びに来たのですが、まだ3歳にならない男の子の
G君は私とあまり顔を合わせる機会が少ないせいか、まだ私に慣れていません。

それでも最近は私とのコミュニケートを意識しているらしく、その日は珍しく向こうから近寄
ってきて私に何かを渡そうとします。

私が手のひらを差し出すとG君はビスケットを1枚手のひらに乗せてくれました。

直径5センチ位の円形で厚みが5ミリ位のビスケットです。

実は私がそう感じただけで実際には何も存在しない想像上のやり取りだったのですが、なぜか
見えたのです。

しかもG君の手には後3枚のビスケットが残っているのも見えました。


G君は照れたように走って母親の元に戻るのですが、そのときに母親がG君にこう言います。


「…そう、おいちゃんにもメダルをあげたの?おいちゃんも変身できるようになったかなぁ」


どうも私がもらったのはビスケットではなく、テレビの変身物のヒーローが変身のさいに使う
アイテムのメダルのようでした。

それにしても大方の形と大きさはあっていたわけで、子供の純粋なイメージが何かの拍子に映
像化した瞬間を体験できたことを光栄に思いました。


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