117−原付バイク

原付バイクを買ったのが嬉しくてたまらなかった頃の話です。

週末や休日は勿論のこと平日の夜も従弟と一緒にその辺を走り回っていました。

その日も夜中まで従弟と遊んでそろそろ引き上げようかと思っているところに雨が降り出してきたので慌てて帰路に付くのですが雨脚は強くなるばかりで一向に止む気配はありません。

私は眼鏡をかけていますから眼鏡が雨に濡れると前がよく見えないのです。

そろそろ交差点に差し掛かることは意識していたのですが時既に遅く、右側から突っ込んでくる車のヘッドライトで自分が赤信号を無視して通りに飛び出してしまっていたことに気づくのです。

慌ててブレーキをかけても間に合うはずもなく、更にそのまま反対車線の車にも激突した
…はずでした。

タイミング的にも非の打ち所がないくらい悲惨な事故現場になるはずでしたが何故か事故は起こらず、2車線の通りの中央線を挟で2台の乗用車が並んで止まっているだけでした。

車の運転手は何故か道路を渡りきっている私の方を見て何が何だかわからないといった様子でしたが、一番驚いていたのは私自身です。なぜ無事なのかが理解できませんでした。

先に道路を渡り終えていた従弟もその一部始終を見ていたようで、間違いなく車と激突したと思ったようです。

30年経った今でもたまに会うと決まってその話になるのですが、従弟はあの時、私のバイクは絶対に車と衝突していたと言い張ります。

そしてバイクが車の中を通り抜けたのを確かに見たと言うのです。…不思議な話です。



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